« 低価格でわかりやすい占術書シリーズ 四柱推命編 |メイン| 「宿曜経」の訳・解説+α的な本が出た! »
2011年1月18日
またこのネタか。結構前に結論出ただろ。
こんな話をまた海外のどっかの誰かさんがぶり返したそうで。
13星座占いねぇ......、もう15年くらい前の話です。ってかそのころに結論って出ませんでしたっけ?
はっきり言って、これは「こちとら歳差運動でサインと星座がずれてることぐらい知ってるわ!」な事項なわけですが、たまにはこのような占星術ネタを書かないとここがどんなサイトか分からなくなってくるので、改めて説明することにします。
まず、俗に言う「12星座」は本来signと呼ばれるもので、春分点から機械的に30度ずつ区切って定義します。
地球を中心にして、春分点と天体を地球の軌道平面に垂直に投影した点がなす角を「地心黄経(celestial longitude)」というのですが、言い換えると、占星術における「星座」は地心黄経を30度で割った整数部分に相当します。
一方、久しぶりに出てきた「13星座占い」は「出生時に地球から見た太陽が実際の星座(constellation)のどこに位置していたか」で生まれ星座を規定します。別にバビロニア人がどうとか関係ありません(そもそもいまのconstellationの区分自体IAUが1928年に決めたもの)。
で、実際に占星術で使うのはsignの方です。なので、雑誌やテレビの占いを見るときはいままで慣れているサインのものを確認していただければ大丈夫です。
#もっともSun Sign Astrology自体どうなのよ、という議論は別にありますが、ここでは無視します。
ところがめんどくさいことに、「いまの春分点」を使う西洋占星術と「ある時点での春分点」を使うインド占星術の両方でsignを使うんですよね。なので、「生まれ星座」と言われたときにどれを指すかはどの占術を使うかで決まってきます。
もっとも、西洋占星術では太陽で「生まれ星座」を決めるのに対してインド占星術では月で「生まれ星座」を決める違いはありますが(アセンダントによる生まれ星座に関する議論は別にして)。
#もっとめんどくさいことに「ある時点での春分点」を使う西洋占星術(sidereal astrology)もあるのですが、これはまた別の機会に。
なので、占星術におけるsignをサインおひつじないし白羊宮、牡羊座宮と呼ぶべきだ、という意見もあります。
ただ、もうすでに修復不可能なほど現行の表現に慣れ親しんでしまっているので、このサイトでも日常会話でも牡羊座、牡牛座、......という表現を使用しています。もっともこの事象は海外でも同じようですが......(英語ではsignもconstellationもともに同じ単語で表現しています)。さすがに専門書ではすべて記号で書かれているので勘違いすることはないのですが(^^;。
ちなみに、位置天文学の世界では春分点を「First point of Aries」と表現することがあります。また、北回帰線を「the Tropic of Cancer」、南回帰線を「the Tropic of Capricorn」というのですが、ここで使われているAriesやCancer、Capricornはすべて西洋占星術的な意味で用いられていることにお気づきになりましたか?
投稿者:astsakai 2011年1月18日 12:35